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神戸家庭裁判所社支部 昭和63年(家)334号 審判

主文

申述人らの相続放棄の申述をいずれも却下する。

理由

1  申述人らは、申述人外山典子(以下申述人典子というようにいう)は被相続人外山銀三(明治41年1月11日生)の妻であり、申述人成美はその子であるところ、被相続人は昭和63年4月4日に死亡した。申述人らは昭和63年9月末に金融機関から被相続人の債務の支払の請求を受け、初めて具体的に債務の存することが判明したから、同時点をもって申述人らは自己のために相続の開始があったことを知ったものというべきであるから申述人らの相続放棄の申述は受理されるべきである。と主張する。

2  一件記録によれば、申述人典子は被相続人の妻、申述人成美はその子であること、申述人らはいずれも被相続人死亡当時その死亡の事実およびこれにより自己が相続人となった事実を知ったが、相続放棄の申述手続をせず昭和63年7月4日の経過により法定の相続放棄の熟慮期間を徒過したこと、申述人らは被相続人死亡当時同人と同居していて同人が不動産を所有する外多額の債務を負担している事実を知っていたことを認めることができる。

以上のとおりであって、本件申述は熟慮期間起算日の繰り下げを認めるべき例外的場合にあたらないことは明らかであり、いわゆる熟慮期間経過後の申述であるから本件申述をいずれも不適法と認め、主文のとおり審判する。

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